4話「これが僕らの進む道」

4話「これが僕らの進む道」

< 3話「避けられない戦いが、ココにある!」

太子が出会ったのは、まさかの……?

太子には、この後さらなる大事件が待ってたんだ!

だ、大事件!?

それが、「四門出遊(しもんしゅつゆう)」っていう出来事なんだ

シモンシュツユー?

どういう出来事ですか?

当時、太子の生活は、お城の中ですべて完結していた。つまり、何もかも揃ってたから、城の外に出る必要はなかったんだね

ところが太子は、ある日、城の外に出た。他の人々の暮らしを学ぶためにね。それが四門出遊だ

なんだ〜、遊ぶんじゃないんすね!

山下じゃないんだから

そう。
学ぶためだったんだ

最初、太子は東の門から城の外に出た

そこで、あるものを見て衝撃を受ける。……いったい何を見たと思う?

フッフッフ……鈴木さん、俺をなめてもらっちゃ困りますよ!

イヤな予感しかしない

俺も

ズバリ!
大型巨人でしょ!

勉強しないでマンガばっか読んでた、悲惨な結果がコレか……

お前ら悲哀の目を向けるな!

なんだろう、実は身近なものとか?

きっと、聞いたら君たちもビックリすると思うよ

正解は……

老人」だ

ろ、老人!?

いやいやいや!
なんで?

じいちゃんばあちゃん見てビックリしたんすか?

ね。オドロキでしょ。太子は「老人」を見て、衝撃を受けたんだ

ど、どういうことですか……?

理由はカンタン。  
太子はそれまで、老人を見たことがなかったんだ

え!?そ、そんなことがあるんですか?

城の中には若い人しかいなかったんだ。今は敬老の精神があるけれど、昔は老いてるだけでジャマ者扱いだった

今考えると信じられない……

そんな時代なら、王子のまわりにはいなそうですね……

そう。  
でも考えてみると、僕らも似たような状況じゃない?

たしかに。俺らだって、高齢の人と関わる機会ってホントないもんな

そういう意味では同じかもね。基本、学生としか会わないし

とはいえ、すべての人は老いる。これが四苦八苦の1つ、「老苦」だ。

時代はアンチエイジング!?

う〜ん、わかるけど……でも当たり前といえば当たり前というか……

な〜

そうだね、老いることなんて誰でも知ってる。だから、みんな若いままでいられるように必死じゃない?

あ!そういえば、母ちゃんも美容パック必死でしてるな

みるるんも、肌の保湿は気をつけてるって言ってた気がする

でしょでしょ。  
でも、若さを求めるのは、昔も今も変わらない

歴史上の人物でもそういう人は多いね

たしかに。   
秦の始皇帝とかですかね

おー、始皇帝。マンガで知ってる

そう、中国の初代皇帝な。老いを恐れるあまり、不老の薬を作らせた人なんだよ

えっ!?そんな薬作れたの?

いや、当たり前だけどできなかった。不老の薬として水銀を渡されて、それを飲んで死んだはず

うわ、マジかよ

こんな歌もあるね

あ!中学の時に百人一首で見た!

うん、百人一首の中でも有名だね。自身を桜にたとえて、老いを嘆いているのがわかる

小野小町ってたしか、世界三大美女の1人ですよね?

うわ、美女が言ってるって思うと、より生々しいな

そうそう。絶世の美女だったからこそ、老いに耐えられなかったんだろうね……

老いたくないのは、今も昔も変わらないのか……

そうだねぇ。   
もちろん寿命は長くなったけどね

でも、だからといって老いが止められるわけじゃない

あ〜あ、俺、年取るならダンディな男になりたいっすね〜

チャラいの間違いでは?

いや、ちゃらんぽらんの間違いでは?

お前ら後で見とけよ?

山下くんがダンディになれるかは置いておいて、あらためて、「老い」がどういうことなのかを考えてみようか

できたことができなくなるのが「老い」!?

そもそも、老いるってどういうことだと思う?

体力が落ちるってことじゃね?

いや、記憶力もそうだろ

体力と記憶力……

ハッ!

もしかして……みるるんのライブに行けなくなる!?

みるるんのプロフィールも忘れちゃう!?

でもあながち間違ってないよな。実際、体力も記憶力も落ちるし

田中も、今みたいにオタ活できなくなるんだな……頑張って生きろよ(肩に手を置いて)

うおぉおぉおぉ、みるるん〜……!

もしかして、老いって……「できてたことができなくなる」ってことなんじゃないか……?

そう!

望月くん、まさにそれなんだ。老いの本質は

これまで当たり前にできていたことが、段々とできなくなっていく……それが「老い」

だからみんな、筋力が落ちて歩けない……なんてことにならないように今のうちから運動したり、美味しくご飯を食べられない……とならないように歯を大事にしたりしてるでしょ? 

って言っても、努力すればなんとかなるんじゃないすか?

山下くん!

ハ、ハイッ!?

決して、老いをなめちゃいけないよ……

「アレ?文字がぼやけて読みにくいな……これまで普通に読めてたのにな……」

これが老眼。だいたい40歳あたりから来る

うぐ!

そして、駅の階段の上り下りがキツイ!

うぐぐ!

そしてそして、衝撃の一言!

「あれ、鈴木さん……丸くなりました?」

ぐわ〜!    
こ、言葉が重い〜!

これは、どうやったってみんなが通る道だからねぇ

時代が進んで寿命が伸びても、老いは止められないと……

年、取りたくないっすね……(げっそり)

「老苦」はすべての人が避けられない。たとえ一国の王子だろうとね

ところが!

太子の大事件はこれだけじゃなかったんだ……

つづく

次を読む
全話一覧
意見を伝える

※ヨアケの内容やURLは、限定コンテンツにつき、SNS等での共有はお控えください。