28話「間違えてはいけない…“最期”の診断」

28話「間違えてはいけない…“最期”の診断」

< 27話「渋ければ渋いほど甘くなる、そんな幸せ!?」

絶対的な幸せが、歎異抄の中には、「摂取不捨の利益」とか、色々な言葉で語られてる

だから、知識人も魅了されたんだろうね

ん〜でも、やっぱわかったような、わからないような……

それはそうだ。僕らが知ってるものはすべて「相対(そうたい)」だからね

相対……?

人の不幸は蜜の味

相対……

早退……?

今、違うやつ考えたろ

相対。比較するということだ。

僕らは相対の中に生きている

たとえば……

俺らは、長い・短いっていうのを、無意識に比較して語ってるんだよ

山下は「一般的なペン」、田中は「ストロー」と

そう、その通りだ

これはペンの長さだけじゃない。

暑いっていうのも、昨日と比べればそうだけど、サハラ砂漠と比べたら涼しいもんね……

成績もな

イケメンかどうかもか……

………

これは、幸福もそうなんだ

え?

これも例を考えるとわかりやすいね

俺、こんな役ばっか!

うはは

でも、たしかに比べてますね……

幸せとは、相対的なものなんだ。「幸」の漢字の成り立ちがあってね

見てみよう

……?

何か見えてこないかい?

いや、わからないっすね……

これでも?

いやいやわかんないっすよ!!

ハハ、問題はこれが何かだ

検討もつかない……

実はこれ、手錠なんだ

……えぇ!?

「幸せ」の漢字ですよね?

ん?まさか……

あ、捕まった人を見て……?

そう。「まぁ、アイツよりマシだろう」の心だ

幸せを、こう定義した人がいる

ひどっ!

けどさ……

そういう心なんだな……

他人の不幸は蜜の味、か……

以前、話したように……人生は比較競争

< ヨアケ3話「避けられない戦いが、ココにある!」>

勝者は敗者を嗤い、強者が弱者を虐げる

幸福は、その上に成り立っている

けど、自分よりもっとスゴイやつが来たら……

もろいな……

そう。崩れてしまうんだ

良くも悪くも、比較対象次第。そして一喜一憂してる

これを、芥川は次のように語った……

………

オリンピック自体は盛り上がるし、夢や希望を見せてくれる

競争してナンボの世界。ところが、その競争に完成はあるのか、卒業はあるのか

だから「狂人」か……

そして芥川は、自ら命を……

そんなのが、生きる意味であっていいはずがない

歎異抄……仏教が示す答えは、相対ではない、絶対的な幸せの世界

すごい……と、学んでいく中で感動したことを覚えてる

……

診断 ――僕たちを苦しめる「原因」とは?

そこで僕は、間違えていたって気がついたんだ

え?

何が人生を苦しめているのか、その本当の原因を見間違えてたのさ

それは……

それさえわかれば、幸せに生きれるというもの

いわば、病気の診断だ。腹痛でも、原因を間違えたら大変だ

食べ過ぎか

盲腸か

ガンか……

それによって対応が変わる

肛門に目薬をしても、ねぇ?

しみそう

苦しみの本当の原因は何か……

僕は、それを社会や環境のせいだと思ってたんだ

社会や環境

周りを見渡すと、99%はそう思ってる

環境が変われば、学校や家庭が違えば……

そこに人生かけてる人も多いですよね。政治運動とか

親とかもそうすかねぇ……

親ガチャとか言われてるよね……

そう、自分を取り巻く環境がもっとよくなれば、幸せになれるんじゃないかってね

だから僕は大企業に入ったし、起業もした。そして妻とも一緒になった

……

けど、自分の外側がいくら充実してもね、決して満たされることはない

国の政治が変わって、昔と比べれば自由で豊かだ……しかし、本当に幸せと言えるのか?

便利だけど、幸せかと聞かれるとなぁ……

自殺も多いしな……

どんなにいい会社に就職したとしても、不満は出てくる

家庭も同じ。すべては有無同然(うむどうぜん)なんだ

ウムドーゼン?

有っても無くても同じく然り。同じく苦しみ、ということだ

お金とかってことですか?

お金は代表だね。他にも、恋人、親子、才能……あらゆるものだ

無くてもは、わかるけど……有ってもっすか?

そう。お金や恋人がなくて苦しいってことは想像に難くない

くぅ……よくわかります……!

しかし、それらがどれだけ充実しても苦はなくならない

無い時は不満で苦しむ、有る時は不安で苦しむ

その2つを行ったり来たり。振り子のようにね

苦しみの本当の原因がにはない。ということは……

内側に向くんすね?

内側……!

(つづく)

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